通奏低音とは

オルガニストの長井浩美です。

今日は初心者さん用「通奏低音とは何か」のご質問へのお答えです。

↓下は、通奏低音の楽譜です。「数字付き低音」とも呼ばれます。

ヘ音記号で書かれている音符、これは左手でそのまま弾けばOKです。

数字は「和音」を指示しています。

「数字で指示された和音を右手で即興的に弾いて下さい。」というのが通奏低音のスキルです。

「通奏低音」のスキルは、どんな場面で必要なのか?

合奏」の時に、鍵盤楽器奏者に必要な即興スキルです。

一人でソロのオルガン曲を弾いている時には使いません。トッカータとかフーガとか…ソロ曲を弾いている時には不要です。

歌の人の伴奏をするとか、管弦楽団の中の一人だとか、そういった場面で必要になります。

古く吟遊詩人のように、弾き語りで「歌」と「伴奏」良いう二つの要素を一人でこなす場合には使用しました。

どの時代の曲で使うのか?

バロック時代と呼ばれるバッハなどが活躍した時代です。バッハのカンタータでは必須。

普通の低音のパートと通奏低音の違いは?

通奏低音は、楽譜に書いてある音符を弾くだけでなく、自分でその音符に和音をつけて弾く演奏方法です。

合奏の際に、ファゴットやチェロの奏者を通奏低音と呼ぶ人もいますが、正しくは「通奏低音」です。

本来それらは和音の即興をしないので、厳密には通奏低音のスキルを使っていないのですが、楽譜に書いてある音符をそのまま鍵盤楽器奏者の補助として演奏しますので、「通奏低音」とまとめて呼んでいます。

通奏低音の楽譜は、普通の楽譜と違うのですか?

パッと見て大きな違いは、左手パートしか記譜がないことです。

そして、左手の音符の下に数字が書いてあります。

その数字は「和音」を表しています。「数字付き低音」とも呼ばれる所以です。

現代では「コードネーム」と言ってアルファベットで和音を表記する方法がありますが、それと似ています。

通奏低音の勉強をしたいのですが

まず、和声の勉強をします。

音大卒業生でしたら、3年から4年間は基本の和声学は修めていますので、一通り復習しておくと役に立つと思います。(いわゆるあの赤、黄色、グレーの和声本をお持ちかと思いますので)。

何年ぐらいかかりますかと聞かれるのですが、和声からはじめた場合、本当に本番で使えるのには10年単位の年月が必要かなと思います。

本当にそのスキル、必要なんですか?

(笑)日本ではそんなに需要はないですね…オルガンの場合は。合奏をするチェンバリストには必須です。

私の場合で言うと、ブリュッヘン指揮/バッハのロ短調ミサを共演したときは、国内でしたけど役に立ちました。

でもそこまで求められることは少ないですよね、日本の仕事では。

ただ、音楽って元々そんなところがありますからね。

正直、新しい奏楽曲でもさらった方が役に立つと思いますが、音楽家というのは基本変人なので、一見無駄なことが好きでやっております。

オルガニスト長井浩美