【音大生向け】バッハの和声分析をしてみましょう! 教会旋法

オルガニストの長井浩美です。

今日は、ちょっと専門に音楽を勉強している方向けの内容です!

そんなに難しくはありませんが、和声を勉強しているかた向け!

2月2日。キリスト教では、「主の奉献の祝日」です。

「キャンドル・マス」聖燭祭とも呼ばれます。

キャンドル・マス…って、ちょっとステキな響きですよね!

そこで、
この日の頌歌「シメオン頌歌」(ルカ2:29「主よ、今こそあなたはお言葉どおりこのしもべを安らかに去らせて下さいます」)にちなみ、

バッハ作曲「オルガン小曲集」シメオン頌歌の 和声的なアプローチをしたいと思います。

私の生徒さんはこの本を持っていますので、早速開いてみて下さい!目次でシメオンの項目を探してみましょう。

さて

元のコラールを見てみます。

原曲のコラール

12小節でできています。

(元のコラールの和声付けもバッハです。バッハさん、ありがたいですね!)

・2、4小節目はイ短調で全終止 

・7小節目ハ長調で半終止  

・8小節目ヘ長調で全終止

・10小節目ニ短調半終止

・最後はピカルディ終止です。

弾けばすぐわかると思います!

和声の勉強は、机上ではなく弾いてみて下さいね!

実際にはバスはペダルで弾きますが、今は和声の授業なので手のみで良し。

(楽譜ペダル記号は、長井、高校生の時の書き込み。変なところもあり。)

小曲集

一方バッハが編曲した「小曲集」の作品のほうは、15小節でできています。次のページです!

 最初と最後はニ短調かと思いきや調号もついておらず、ドリア調と書いてある本も過去にあります。

だがしかし…ドリア調臭さもそれほどしません。

3小節頭では機能和声的なニ短調の構造も見えます。

(ペダルにcis、左手にGの部分でニ短調属七。またはフェルマータの部分で四度調五度→イ短調四度→イ短調一度)

結構イ短調に行きそうな気配もあります(2、4、9小節目)。

6小節目は明らかなハ長調になっています。

11~12小節では、ヘ長調のカデンツが形成されています。

最後はピカルディ終止で終わっており、バロックらしい終止と言えます。

いかがでしょうか、

この短い曲のなかに教会旋法臭さが薄れ、後の時代に続く機能和声への変換期という印象が見えます。

音大の和声の授業では教会旋法の話題にまで触れなかったかもしれませんので、一歩先まで!

そして理論でなく、実際に役に立てて頂けたなら嬉しいです。

お役に立ちましたら幸いです。

よいキャンドル・マスを。

オルガニスト長井浩美