「カッチーニのアヴェ・マリア」パイプオルガン・リードオルガン楽譜
シンプルなパイプオルガン楽譜と対旋律を使ったリードオルガン楽譜
パイプオルガンの楽譜とリードオルガンの楽譜(手だけで弾ける)を作る際には単純に左手に音を足すというわけではなく、その音域にふさわしい和声法に基づいて作っていきます。
低音があるとないのとは、左手と右手の距離感が違うので、和声が変わってきます。
パイプオルガンですと、左手声部を三和音で行っても低音が伸びているのである程度充実した響きになるのですが、
狭い音域で繰り返しが何度か来ると、子供の教則本のようになってしまいます。(それはそれで可愛らしいと思うのですが、今回の曲はそれは狙ってませんので…)
例えば、最初は旋律と伴奏で始まるのですが、(3小節目から旋律が入っています)
↓こんな風に途中は対旋律を使って処理しています。左手が比較的高い音域になっているのは、ここで明るさ・天上のイメージを出したかったからです。
他の箇所では少し違う処理をしているのですが、和声的なボイシング(和声法での良い響き)を考えて1音1音選んでいきます。
私としては、手版もかなり満足のいく出来で気に入っており、足版と使い分けています。(つなげて弾いたり、両方からチョイスしたりと)
パイプオルガン用の方は、シンプルな和音と旋律で十分価値があると思うのでシンプルに仕上げています。
このような感じで、音を書く・選ぶ時には意味があって書いているはずなので、色々な作品を弾かれるときには作曲家の意図を想像したりすると良いんじゃないかなと思って書いてみました。
そんな際、音楽だけでなく美術も助けになると思います。一応、音大の音楽史的には美術は音楽の一歩先をいつも行っていると習いますしね。
9月、「マリア様の悲しみに捧げる月」ですが(悲しみの聖母)、この「Mater Dolorosa」というテーマは、有名なピエタなどと同様、古くからたくさんの絵画の題材にもなっていますので、絵もネットなどでご覧になってみてください。
お役に立てましたら幸いです。
それでは。
マリア様の取りなしのうちに。